トレード戦略の作り方では、「エントリー条件をできるだけ具体的に定義する」ことの重要性を学びました。
しかし、「具体的にどうすればいいのか」が分からない初心者も多いはずです。この記事では、実際のトレードで使える3つのエントリーパターンを、エントリー条件、損切り、利確まで含めて具体的に解説します。
エントリーパターンを学ぶ前に
パターンは「ルール」であり「予言」ではない
ここで紹介するパターンは、過去の値動きの傾向に基づいたものであり、「このパターンが出れば必ず勝てる」というものではありません。
どのパターンも勝率は100%ではないため、リスク管理(1トレードのリスクを資金の1〜2%以内に抑える)とポジションサイズ計算は必ず実行してください。
すべてのパターンに共通する前提
- 上位足のトレンド方向を確認する: マルチタイムフレーム分析で上位足のトレンドと同じ方向のみトレードする
- 複数の根拠を揃える: パターン単体ではなく、サポート・レジスタンスやテクニカル指標と組み合わせる
- 重要指標の発表前後は避ける: 雇用統計やFOMCの前後はスプレッド(売値と買値の差)が拡大し、通常のパターンが機能しにくくなる
パターン1: 押し目買い・戻り売り
トレンドフォロー戦略の最も基本的で信頼性の高いパターンです。
押し目買いとは
上昇トレンド中に価格が一時的に下落(押し目)した後、再び上昇を始めるタイミングで買いエントリーする手法です。
戻り売りとは
下降トレンド中に価格が一時的に上昇(戻り)した後、再び下落を始めるタイミングで売りエントリーする手法です。
エントリー条件(押し目買いの例)
環境認識(日足):
- 移動平均線(20SMA: 20期間の単純移動平均線)が上向き
- 価格が20SMAの上にある
- 高値と安値がともに切り上がっている(上昇トレンドの定義)
エントリータイミング(4時間足または1時間足):
- 価格が20SMAに向かって下落する(押し目の発生)
- 20SMA付近、または直近のサポートライン付近で下落が止まる
- 以下の確認シグナルのうち1つ以上を確認:
- RSIが40〜50付近から反転上昇
- 反転のローソク足パターン(ピンバー、包み足)が出現
- 短期移動平均線(5EMA: 5期間の指数平滑移動平均線)が再び上向きに転じる
- 確認シグナルが出た次の足の始値でエントリー
損切りの設定
- 押し目の安値の少し下(10〜20pips下、またはATR(Average True Range: 一定期間の平均的な値動き幅を示す指標)の0.5〜1倍下)
- 押し目の安値を割り込んだら、上昇トレンドの前提が崩れるため撤退
利確の設定
- 方法1: 直近の高値付近(最もシンプル)
- 方法2: 損切り幅の2倍(リスクリワード比(損失に対する利益の比率)1:2)
- 方法3: トレーリングストップ(価格の進行に合わせて損切り位置を有利な方向に移動させる手法。例えば移動平均線を割り込んだら決済することで、トレンドが続く限り利益を伸ばせる)
このパターンのポイント
- グランビルの法則の「買い2(押し目買い型)」「買い3(移動平均線手前で反発型)」に相当する
- 押し目が深すぎる場合はエントリーしない: 直近の安値を割り込むような深い押し目は、トレンド転換の可能性がある
- 急落後の反発は狙わない: 急落は何らかの理由(ニュース、指標発表)で起きていることが多く、「押し目」とは性質が異なる
パターン2: ブレイクアウト
サポート・レジスタンスラインを突破した方向にエントリーするパターンです。
ブレイクアウトとは
価格がレンジ(一定の値幅での横ばい推移)の上限または下限を突破したときに、突破した方向に大きく動く傾向を利用した手法です。
エントリー条件(レジスタンス上抜けの例)
環境認識:
- 明確なレジスタンスライン(同じ価格帯で2回以上反落している)が存在する
- 上位足のトレンドが上方向であればなお良い(トレンド方向へのブレイクは信頼性が高い)
エントリータイミング:
- 価格がレジスタンスラインに接近する
- レジスタンスラインをローソク足の実体(始値と終値の間の太い部分)で上抜ける(ヒゲだけの上抜けは「ダマシ(偽のブレイク)」の可能性が高い)
- 上抜けた足の確定を待つ(足が確定する前にエントリーすると、最終的にヒゲで戻されるリスクがある)
- 確定後にエントリー
損切りの設定
- ブレイクしたレジスタンスラインの少し下
- ブレイクが「ダマシ」だった場合、価格はレジスタンスの下に戻るため、損失を限定できる
利確の設定
- 方法1: レンジの値幅(上限と下限の差)と同じ値幅を、ブレイクポイントから計算(N値計算)
- 方法2: 次のレジスタンスライン付近
- 方法3: 損切り幅の2倍以上
ダマシを減らすためのフィルター
ブレイクアウトの最大の問題は「ダマシ」(一時的にブレイクしたが、すぐに戻ってくる現象)が多いことです。以下のフィルターで精度を上げられます。
- 出来高(ティックボリューム: FXでは実際の取引量ではなく、一定時間内の価格変動回数を指す)の増加: ブレイク時に出来高が増加していれば、本物のブレイクの可能性が高い
- 複数回テストされたライン: 2回より3回、3回より4回テストされたラインのブレイクの方が信頼性が高い
- ボリンジャーバンドのスクイーズ後: ボリンジャーバンドの幅が極端に狭まった後のブレイクは、大きな動きにつながりやすい
- 上位足のトレンド方向: トレンド方向へのブレイクは逆方向より信頼性が高い
ブレイクアウト後のリテスト
ブレイク直後にエントリーするのが怖い場合、**リテスト(ブレイクした後、一度ブレイクラインまで戻ってきてから再び離れる動き)**を待つ方法もあります。
- 価格がレジスタンスを上抜ける
- 一度レジスタンスライン付近まで戻る(リテスト)
- レジスタンスラインが今度はサポートとして機能し、反発上昇
- 反発を確認してからエントリー
リテストのメリット:
- ダマシの可能性が低くなる
- 損切り位置が近くなるため、ポジションサイズを大きくできる
リテストのデメリット:
- リテストが起きないこともある(そのまま一方的に動く場合、乗り遅れる)
パターン3: レンジ逆張り
価格が一定の範囲内で推移するレンジ相場で、下限付近で買い、上限付近で売りを繰り返す手法です。
レンジ相場の確認
以下の条件でレンジ相場と判断します。
- 同じ価格帯で2回以上反発(サポート)と2回以上反落(レジスタンス)が確認できる
- 移動平均線が横ばい(上向きでも下向きでもない)
- ADX(Average Directional Index: トレンドの強さを0〜100で数値化する指標)が25以下(使用している場合)
エントリー条件(サポート付近での買いの例)
- 価格がレンジの下限(サポートライン)に接近する
- サポートライン付近で以下の確認シグナルを確認:
- RSIが30以下(売られすぎ)から反転上昇
- 反転のローソク足パターン(ピンバー、包み足)が出現
- サポートラインでの反発を実体で確認
- 確認シグナルが出た次の足でエントリー
損切りの設定
- サポートラインの少し下
- サポートを明確に割り込んだらレンジ相場の前提が崩れるため、即座に撤退
利確の設定
- レンジの中央〜上限付近
- レンジの上限ぴったりではなく、やや手前で決済するのが安全(上限まで到達せずに反転することがあるため)
- リスクリワード比1:1.5以上が確保できない場合はエントリーを見送る
レンジ逆張りの注意点
- トレンド相場では使わない: レンジだと思っていた相場がブレイクアウトしてトレンドに移行すると、大きな損失になる
- レンジの幅が狭すぎる場合は見送る: スプレッドを差し引いた実質的な利益が小さくなりすぎる
- 重要指標の発表前はレンジ逆張りをしない: 指標の結果でレンジをブレイクする可能性が高い
- 損切りは必ず設定する: 「レンジの下限だから戻るはず」という思い込みは危険
3つのパターンの使い分け
| 相場環境 | 適したパターン |
|---|---|
| 明確なトレンド相場 | パターン1: 押し目買い・戻り売り |
| レンジからのブレイク | パターン2: ブレイクアウト |
| 明確なレンジ相場 | パターン3: レンジ逆張り |
| 方向感のない不明瞭な相場 | トレードしない |
最も重要なのは、相場環境を正しく判断することです。トレンド相場でレンジ逆張りをしたり、レンジ相場でブレイクアウトを狙ったりすると、損失が続きます。
初心者への推奨
まずはパターン1(押し目買い・戻り売り)だけを練習しましょう。
理由:
- 上位足のトレンド方向に沿うため、リスクが比較的低い
- グランビルの法則と組み合わせやすい
- 損切り位置が明確で、ポジションサイズの計算がしやすい
パターン1で安定した結果を出せるようになったら、パターン2、パターン3を追加していきましょう。
エントリーの質を上げるためのチェックリスト
エントリー前に以下の項目をすべて確認しましょう。
- 上位足のトレンド方向と一致しているか
- エントリーパターンの条件をすべて満たしているか
- 確認シグナル(ローソク足パターンまたはインジケーターの反転)があるか
- 損切り位置を決めたか
- ポジションサイズを計算したか
- リスクリワード比が1:1.5以上あるか
- 重要指標の発表が直近にないか
1つでも「NO」がある場合はエントリーしない。 この規律がトレードの質を決めます。
まとめ
この記事では、実践的な3つのエントリーパターンを解説しました。
- 押し目買い・戻り売り: トレンドフォローの基本。初心者はまずこれを習得する
- ブレイクアウト: レンジからの放れを狙う。ダマシに注意し、フィルターを活用する
- レンジ逆張り: レンジ相場でサポート・レジスタンスの反発を狙う。トレンド転換に注意
- 相場環境の判断が最優先: パターンより先に「今がどんな相場か」を判断する
- チェックリスト: エントリー前に7項目を確認し、すべて満たしたときだけトレードする
パターンを知っているだけでは利益は出ません。過去のチャートで繰り返し練習し、体で覚えることが重要です。
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※本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。